自然食の道を極めたい。その一心から、私、佐野が、ついに足を踏み入れた足助での農業修行生活。汗と泥にまみれながら、山のてっぺんで発見した食の原点を、皆さんに熱き想いと共にお伝えします!!
 私は商売をやりたくて始めたわけではなくて、必要に迫られて始めたと言える。最初は小売だったけれど、自分の気に入った商品を作ろうと思ったら力を持たなくてはいけない、とわかった。そうなると卸しに転身せざるを得ない。そんなふうに、必要に迫られてやってきた。肝心なのは、自分の考え方をどこまで貫けるかということ。思ったことを続けようとしたら、足助での野菜作りまでやることになった。できる、できないではない。やるか、やらないか。始めた当時は、厚生省お墨付きの大手の会社が作ったものなら添加物が含まれていようが問題にもならず、それはへんだから変えようとしても、まず不可能。だから、やるか、やらないかの精神しかなかった。どこまで本気になれるか。現状を踏まえて何をするか。いまも基本路線は変わっていない。
 ただ、安全な食品について興味を持っても、みなが自給自足の生活をできるわけではない。そこで、きっかけとして、まずは一度、農業を体験してみることを勧めたい。私も百姓なんてやったことがなかった。タネというのは1袋「何グラム」という単位で扱うのかと思っていたら、そうでなくて、「デシリットル」だった。要するに基本的な知識は何もなかった。畦(あぜ)とは何か、畝(うね)とは何か、土寄せとは何か。何年も有機農業に取り組んでいる人に教えてもらいながらやっている。
 まずは、自分のレベルがどれくらいかを知ることが大事。そうすると、自分自身がどこまで挑戦したいかが見えてくる。都会でお金を払って安全な野菜を買うのも一つの方法。だけど、実際にやってみると「これくらいのことだったら自分でもできる」と思うかもしれない。そうすれば、どこかで土地を借りてやろう、という気になるかもしれない。あるいは、田舎に定住する気持ちにもなるかもしれない。ただ安全な野菜がほしいのか、それとも、そういうものを自分で作るくらいまでの気持ちになれるのか。さらに、もう一歩先の問題が見えてくるのか。そういうことをひっくるめて、一度無理のないレベルで体験してみることだ。
(・・・つづく)
●第10話は「自分で見て、感じることが肝心」についておおくりします。

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