自然食の道を極めたい。その一心から、私、佐野が、ついに足を踏み入れた足助での農業修行生活。汗と泥にまみれながら、山のてっぺんで発見した食の原点を、皆さんに熱き想いと共にお伝えします!!
 私に言わせれば、昔の農村のおばあちゃんのような食生活のあり方が一番理想的。いま、スローフードということがよく言われるけれど、それは私の思うところの、まさにスローフードだ。
 農場の地主のおばあちゃんの暮らし方を見ていると、これが本来の暮らしだな、と思うようなことがたくさんある。トイレは昔ながらのボットン式なので、中身は発酵させて畑に撒く。水は山から。スーパーで買い物をしたときに付いてくるトレイは捨てずにとっておいて、自分が漬けた漬物などをおすそ分けするときに使う。無駄がない。彼女の暮らしを見ていると、これが基本形かな、と思う。食生活も自給自足。肉なんてほとんど食べない。それで、ものの味、いいものをよく知っている。醤油がほしいというので、「うちの醤油は高いよ」と言ったら「いいよ、あれは美味しいし、のびがある」と言ってくれた。われわれは「濃い」という言葉を使うけれど、おばあちゃんは「のびがある」という。要するに、濃いということは、のびがあって、だから高くない、ということを認識している。昔の味、本物を知っているからこそ、他のものと比較して、うちの高い醤油を評価してくれる。
 そんなふうに彼女から学ぶことはたくさんあるけれど、こちらが教えることもある。昔の人たちのやることが全部いいというわけではない。というのは、彼女たちはやはり化学肥料、農薬を使っていた。あるとき「佐野さん、キャベツに虫がついとったから、農薬かけといてあげたよ」と言われてしまった。ううん、気持ちはありがたいけれど・・・、当初はそんなこともあった。いまでは私たちの取り組んでいることをきちんと理解してくれている。それに、われわれと付き合ううちに、農薬などが良くないこともわかってきたようで、あまり使わなくなってきた。例えば、梅干を漬けるときの塩も、うちの商品を使ってくれるようになった。そういうふうに、お互いにきちんとした交流ができてきた。
(・・・つづく)
●第12話は「いかに都会の人たちが農村へ入れる状況をつくるか」についておおくりします。
 
 

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