名古屋で代々、乾物店を営む店主から、日本の食卓へ一筆啓上。本物の美味しさを知っていただくために、少々苦言も申し上げますが、オヤジの話もいろいろ役に立つことがあるものです、ハイ。
 一般家庭でも、自分でダシをとってうどんのツユを作ると美味しい。ところが、作り方がわからないらしい。それで、ついつい添加物の含まれている市販のツユを買うことになる。
 ということで、昨年から私どもは、近所の溜屋さんとタイアップして、みりんと砂糖と醤油だけで作った「かえし」という商品を売り始めた。その「かえし」と私どものダシを合わせると美味しいツユができる、というわけだ。合わせる比率によって、丼物のツユ、ざるそばの付け汁、かけつゆができる。せっかくダシがあっても、味付けがでたらめでは美味しいものは作れない。ところが、その「かえし」とダシを、マニュアルどおりきちんと量って合わせれば、美味しいツユが簡単にできるわけだ。うちとしては、「かえし」のついでにダシも売れればいいなと思っていたら、期待以上に売れている。大ヒットだ。作り方の知識がないだけで、作り方さえ教えてあげれば、みな使う。より美味しいものを作るために、覚えよう、やってみようと思う人はたくさんいる、ということだ。
 そんなわけで、かつお節はいまや、料理に凝る人たちが使う特別な食品ではなく、一般食品と言える。もっと普及させたいし、だからこそ勿体ぶった値段はつけたくない。みなが手の出し易い値段にして、うちへ来れば本物があるよ、ということでやっていけるといい。気に入ってくれたお客さんは、「こういう美味しいものがあるよ」とあちこちで宣伝してくれるものだ。そうやって、少しずつ愛好者が増えてくれると嬉しい。
(・・・つづく)
●第9話をお楽しみに・・・。

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