名古屋で代々、乾物店を営む店主から、日本の食卓へ一筆啓上。本物の美味しさを知っていただくために、少々苦言も申し上げますが、オヤジの話もいろいろ役に立つことがあるものです、ハイ。
 かつお節を作る工程で焙乾が行われるようになったのは江戸時代からで、それ以前は、魚を切って、煮て、ひたすら天日干しして固くしていたようです。「堅魚」とか、地方によっては「松魚」とか言って、今でいう「なまり節」みたいなものでしょうか、それを削って食べていたのでしょう。そのうち焙乾するようになり、保存食になっていったらしいですよ。使われ方は少しずつ変わってきたにせよ、昔からなくてはならない調味料だったことに変わりはありません。
 さて、かつお節に旨みが出るのは、紫外線によって魚に含まれているたんぱく質がアミノ酸などに分解されるから。だから、天日干しというのは非常に大事です。一番日差しのきつい8月〜9月の半ば頃に最終的な天日干しができると最高のものができます。
 世間に出回っているかつお節にもいろいろあります。その中で最も多いのが、あまり天日干しもせず、カビ付けも2回で済ませているもの。実際のところ、それではあまり旨みは出ません。コスト的なことも含め、加工にかける期間を短縮したいというのが一番の理由のようです。5カ月も6カ月もかけて加工して出荷し、それが自分の思う値段で売れればいいですが、実際は生の魚の相場も絡んでくる世界なのでどうなるかわかりません。さらに、かつお節の良し悪しはパッと見てもわからず、削って口にして初めて評価できるものなんです。だから、いくら産地入札で買ってきても失敗はあり得ます。これはもう、一種のギャンブルですね。特に本節は本当に難しいんですよ。
(・・・つづく)
●第5話は「私のこだわり」についておおくりします。

Copyright(C)NITTO JOZO.Inc.All RightsReserved