名古屋で代々、乾物店を営む店主から、日本の食卓へ一筆啓上。本物の美味しさを知っていただくために、少々苦言も申し上げますが、オヤジの話もいろいろ役に立つことがあるものです、ハイ。
 かつお節の素材である、かつお。日本人には馴染み深い魚ですが、漁の方法によって、同じかつおでも味が違ってくることをご存じですか?今回は、美味しいかつお節選びの基礎知識として、かつおの生態や漁についてご紹介しましょう。
 かつおは、赤道を挟んで北緯45度〜南緯40度の海域を回遊する魚で、春から初秋にかけ暖流(黒潮)に乗って本州東側を北上し、晩秋から冬になると南下します。ただ、回遊経路については諸説あり、まだ実態はつかめていません。大きいものは体長1m、体重は2〜10kgまで成長し、その中で、かつお節に使われるのは、主に体重2〜6kgのものです。
 かつお漁の方法は2種類で、一本釣り漁と巻き網漁があります。一本釣り漁は、カタクチイワシを餌に一尾ずつかつおを釣り上げる伝統的な漁法で、かつおの魚体が美しく、身がしっかりしているのが特長です。一方、近年盛んに行われるようになった巻き網漁は、大型の網で大量のカツオを一度に捕獲します。しかし、大きいものでは駿河湾に匹敵するほどの網を使用するため、魚体が押しつぶされ損傷が激しいという問題点があります。また、かつおは泳ぎ続けることでエラ呼吸ができるため、網にかかって泳げなくなると、全身に血が回って死んでしまうのです。
 つまり、巻き網漁ではかつおは冷凍前に死んでしまうため、生きたまま冷凍された一本釣りのものとは、品質に大きな差があります。特に、かつお節にする場合は、この差が味の差として出るため、かつお節には一本釣りのものが最適なのです。

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