名古屋で代々、乾物店を営む店主から、日本の食卓へ一筆啓上。本物の美味しさを知っていただくために、少々苦言も申し上げますが、オヤジの話もいろいろ役に立つことがあるものです、ハイ。
 ウチの店の看板商品と言えば、かつお節。だしを取ったり、花がつおをふりかけたりと、ご家庭の食卓にはお馴染みの素材ですね。ところで、かつお節とは、よくよく見ると、なんと不思議な食べ物なんでしょう。黒く堅いあの外観からは、とてもあの旨味が出るとは想像できません。いったいいつどこで作られたのものなのか?まずは、かつお節の歴史から振り返ってみましょうか。かつお節のルーツを探ると、和銅5年(712)に成立した日本最古の歴史書『古事記』にさかのぼります。そこには「堅魚」という記述があり、はるか古代の日本人も、かつお節とおぼしきものを食べていたらしいのです。奈良時代や平安時代の文献にも、「堅魚」「煮堅魚」「堅魚煎汁」という言葉があり、かつおやかつおの加工品を、当時は税の一つとしておさめていたようです。今のかつお節は、簡単に言えば、かつおの身を煮て、薪をいぶした熱気の中で乾燥させて作りますが、この方法が主流になったのは江戸時代中期から。それまでの日本人は、日に干した天日乾燥のかつお節を食べていたのでしょう。
 味噌や醤油も日本に古くからある調味料ですが、かつお節と違うのは、それらの製法が中国から伝来したこと。かつお節は、日本人が黒潮に乗って回遊してきたかつおを原料に創り出した日本独自のものです。まさに日本の調味料のルーツは、かつお節にあり!というわけなんです。

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