自らを“無限責任社員”と称する野田氏が愛してやまない、蔵併設の直売店はまさにノダ・ワールド。そこは、訪れる人の五感を刺激し、彼の味噌づくりに対する考え方、職人たちへの愛情を心地よく伝えているギャラリーそのものです。
 味噌が作られる過程を一般の人はなかなか見ることができません。逆に僕たちが知り得る一般の人の声というのは、「バイヤーがこう言っている」「うちの営業がこう言っている」「こういうアンケートが出ました」というワンクッションもツークッションも挟んだ情報のみ。確かに情報には違いありませんが、そんな情報は腐った情報で、どこかで歪んでいます。大事なのは、いかにクッションを省いてダイレクトに情報を受けるようにするか。そのとき「ここは味噌を売るための店じゃない」と思いました。要は、人と交わる場であればいいんです。味噌というものを通して生まれた、僕らの会社と世間一般との接点。だから、この店では味噌は売れなくてもいい。僕たちがどういうふうに味噌を表現したいかを感じていただけるだけで嬉しいんです。
 この店に入ってくると世界が違うことに気づくはずです。空気も違うし、香りも違う。でも、本来人間の生きている世界というのは、この店の中でのやりとりぐらいのリズムで動いてるんじゃないでしょうか。デジタル化の中でどんどんスピードが速まり、言ったものがすぐにできてしまう時代にはなりましたが、結局人間が行きつくところはこれくらいの速さのはず。そんなわけで、結局、情報の受発信にふさわしいのはこの店なんだと、僕の中で落ち着いたわけなんですね。
(・・・つづく)
●第4話は「人と人とのコミュニケーション」についておおくりします。
 

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