自らを“無限責任社員”と称する野田氏が愛してやまない、蔵併設の直売店はまさにノダ・ワールド。そこは、訪れる人の五感を刺激し、彼の味噌づくりに対する考え方、職人たちへの愛情を心地よく伝えているギャラリーそのものです。
 僕にはいま、一つの夢がある。
 会社には15の蔵があり、その一つずつに、先祖伝来の名前がついている。大黒蔵、戎蔵、高嶺蔵、大蔵、西蔵、新西蔵、南蔵、一号、二号、三号、・・・というふうに。その中に「高嶺蔵」という蔵があり、そこには30本ほどの桶が入っている。実は、その蔵は、大正5年につくられた小学校の校舎だ。高嶺小学校というのが近くにあって、戦後その校舎の払い下げを受けて、ここに移築した。小学校は蔵として余生を送っているわけだ。教室が3つ取れる広さで、廊下も付いている。それで、僕の夢というのは「蔵の森小学校計画」といって、蔵になっている高嶺小学校を、もう一度つくり直そうということ。
 そうすると、そこには机や椅子が必要になる。それは、いまどきのスチール製ではダメ。そう思って探していたら、先般、手に入った。昭和初期の机と椅子が50脚。インターネットで探していたら、蓬莱寺の廃校の情報が見つかったので、そこの教育委員会に電話して「こういう者ですが、こういうことを考えている。そのためには机と椅子が要る」と話してみた。すると「もう20数年前に廃校になっていて、地域のものになっている。私どもの管理下ではない」というから、管理者を聞き出して、その人に熱く語ってしまった。その結果、机と椅子を手に入れることができた。他にもいろいろな物が手に入った。例えば、教室に掛ける合言葉を書いた額。廃校に掛かっていたものを、そのまま今度は、うちの小学校に掛ける。なんと、それは「なかよく」と書かれた額だった。僕が日頃、従業員たちに言ってる言葉そのままじゃないか。というわけで、小学校をつくる夢は一段と現実味を増してきた。
(・・・つづく)
●第13話は「夢を従業員たちと共有する」についておおくりします。

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