自らを“無限責任社員”と称する野田氏が愛してやまない、蔵併設の直売店はまさにノダ・ワールド。そこは、訪れる人の五感を刺激し、彼の味噌づくりに対する考え方、職人たちへの愛情を心地よく伝えているギャラリーそのものです。
 僕のイメージする味噌屋さんというのは、蔵に併設したウチの直売店に来てもらえば感じてもらえると思います。だいたい味噌屋に来て、味噌の香りがしなかったら味噌屋じゃない。大豆を洗うことから始めて味噌を作っていって、最後の最後に出来たものをどうやってお客さんに伝えるか、という部分を担うのがこの店。
 僕たちには味噌しかないけど、会社や蔵の中にあるすべてのもの、つまり思いとか自分たちのスタンスなんかもこの店の中で見せたいと思ってます。だから、「こんな味噌屋さんになりたいな」という原型が、たぶんこの店の中にはある。この場をつくって10年ちょっとになるけど、初めて自分の作品っぽいものができました。そこから僕のスタンスは変わってません。ここがすべてのような気がする。「僕が目指していること」がこの店の中にはあるんです。
 僕は毎朝、まずこの店に座ります。ここで一服して、火鉢の炭が熾きるのを待って、熾きた火を見ながら「さてと」と動き始める。人や会社、すべてが動き始める。それが、なんかうれしいんですよね。最近の世間は本当にせわしない。忙しいのはいいけど、僕らはもっとゆっくりした流れの中で生きるのが本来の姿のような気がするんです。そういう本質的なものをどうやって自分なりに味わうか。例えば、店の火鉢なんて別になくてもかまわないんだけど、僕は火鉢を見ていたいんだ。そういうことがあってもいいような気がします。
(・・・つづく)
●第2話は「味噌の売り方」についておおくりします。

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