自分の子どもに食べさせたい豆腐をつくればいい。それに気づいて以来、コツコツと積み上げてきた“いしかわ流”の価値観を、21世紀「マインドの時代」にあるべき日本の農業から経営者像に至るまで、さまざまな観点から紐解きます。
 僕の価値観として、極端な営利目的に走らないようにしたいという思いがある。だから、過剰な営業は必要ないと考えている。自分たちの商品を、適切な価格で、欲しいと思って買ってくださるような方向へもっていく営業スタイルが大切だと思っている。だから、営業には、「飛び込みセールスはするな」と言っている。飛び込みセールスをすると必ず言われるのは「いくらなら買うよ」「安くしてくれるんだったら買うよ」ということ。わかりきっていることに人件費を使ってセールスすることもない。石川の豆腐を欲しいと思ってくださる人たちが買ってくれたら、それでいい。そういうところには、どんどん卸す。
 ただ、自分たちはこんなことをやっています、という情報発信はする。そして、僕が発信した問題などに共鳴してくださる人は、それの一端を担うことができるというわけだ。地球環境問題でいうなら、「石川の豆腐を買ったから、北極や南極のオゾン層にあいた穴も少しは小さくなったかな」と思えるかもしれない。そういう気持ちは絶対大事で、それがなければ日本の繁栄なんてあり得ない。20世紀はモノの時代だったけれど、21世紀はマインドの時代だと僕は思う。そういう時代のなかで、みんなが共鳴できるものを供給できれば、その商品は売れるだろうし、その会社は栄えるはず。伝統芸能でも廃ってしまったものというのは、ニーズがなくなったもの。かたちだけが伝統として残り、形態化してしまったのだ。豆腐も1400年という長い歴史を持っているけれど、常に新しい何かを生み出して、みなが美味しいと思ってくれれば続いていくだろう。昨日よりも今日は美味しく、今日よりも明日はもっと上手に作りたい、と思っていれば、ずっと続くと思う。
(・・・つづく)
●第9話をお楽しみ・・・。

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