自分の子どもに食べさせたい豆腐をつくればいい。それに気づいて以来、コツコツと積み上げてきた“いしかわ流”の価値観を、21世紀「マインドの時代」にあるべき日本の農業から経営者像に至るまで、さまざまな観点から紐解きます。
 僕らは、一部のマニアのための食材供給ではなくて、多くの方が喜んでくださって、安全性が高く、なおかつ健康になっていただけるようなものを作りたい。できれば自分の財布で買える値段のもの。自分が買えないようなものは作りたくない。僕が許せる範囲は、4人家族が食べる豆腐の量としては200円。一人50円ということで、コロッケより安い。そういう感覚。肉を食べるより、豆腐を食べた方が安くて健康的でうまい、と言ってもらえたら嬉しい。ベジタリアンになれ、と言いたいのではない。ただ、季節ごとに、安くて美味しいものを上手に取り合わせて食べることが大切だと思う。だから、あまり高価では日常的に食べられない。1丁が1000円もする豆腐なんて、味噌汁に入れたらもったいないと思ってしまう。提供側は、そういうバランス感覚が大事だと思う。
自分が普段買える範囲のものでなければ、他人も買わないと思う。だから、少しでも安くしたい。国産の豆腐でも、すごく高いものがあるけれど、少し合理化すれば単価は抑えられるはず。そういう感覚は、農薬を使うか、どんな農薬を使うか、使わないか、という話と同じ。だから、僕は、消費者にはきちんと話をする。うちには機械がたくさんありますよ、僕らが作りたい豆腐にはこれらの機械が必要なんです、と。何のための機械で、なぜそれを使うかを明確にすることは、ここでも大事なこと。
(・・・つづく)
●第18話は「農家の人に対して不条理なことは言えない」についておおくりします。

Copyright(C)NITTO JOZO.Inc.All RightsReserved