自分の子どもに食べさせたい豆腐をつくればいい。それに気づいて以来、コツコツと積み上げてきた“いしかわ流”の価値観を、21世紀「マインドの時代」にあるべき日本の農業から経営者像に至るまで、さまざまな観点から紐解きます。
 僕が豆腐屋を始めてから12年になるけれど、毎年150%ずつ売上が伸びている。伸びてしまった、という感じ。仕事が増えたから人も増やさなくてはいけない、工場が狭くなったから新しく造ろう、とやってきたら、ここまできた。
 それで「工場を大きくすると、手作りのよさが失われる」というようなことを言われる。じゃあ、手作りって何? 職人って何? そういうことを考えるようになった。僕は「職人とは、おいしいものをきちんと作り続けられる人」だと思っている。歴史の背景から何から何までわかっていて、自分は何を作っていくのか、その本当の道筋がわかっている人が職人だと思う。たとえ機械を入れても、そのクラフトマンシップは絶対に変わらないと思う。
 道具を使わなかったらモノはできないけれど、素人でもこういう道具を使えばこういう豆腐ができる、というわけではない。親方の傍についている小僧さんのことを手児(てこ)というけれど、彼らは一緒に働くことによって、豆腐の作り方を吸収していく。そのなかで「機械を使うとこうなる」ということも体得していく。機械に使われるのでなく、機械という道具をきちんと使いこなせるようになっていくのだ。
(・・・つづく)
●第16話は「日常食品であることへのこだわり」についておおくりします。

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