自分の子どもに食べさせたい豆腐をつくればいい。それに気づいて以来、コツコツと積み上げてきた“いしかわ流”の価値観を、21世紀「マインドの時代」にあるべき日本の農業から経営者像に至るまで、さまざまな観点から紐解きます。
 当時、スーパーは安売りの時代で、ディスカウントの店が流行っていた。そんななか、危機感をもった地元のスーパーさんから「こだわりの食品を売りたい」という話があった。「本当においしいものを、適切な値段で売る。そういうスーパーが評価される時代が来る」とその社長は言われた。そこで、豆腐についてもディスカウントはやめて、石川の豆腐を売りたいということだった。最初は、安売りの豆腐のスペースもしっかり残しておいて、うちの豆腐は全売り場の2割ほど。それが、だんだんうちのスペースが広がって、最終的には10割がうちの豆腐になった。要するに、お客様が「石川の豆腐がおいしい」と判断して買ってくださったということ。たまたまメディアでも紹介されたので、流通の方たちも協力してくださって、そういう流れになったのだと思う。そうやって売れ始めたら、他の店も「うちも仕入れたい」と言ってくださるようになった。
 そうしているうちに、気がついたら大きくなっていて、今日に至っている。売上を伸ばそう、と考えて大きくなったのではなく、みなが石川の豆腐が欲しいと言ってくれて、それがつながってきたということ。そのつながりは、ありがたいことに、すべて誰かの紹介によるもの。みながうちの価値観に共鳴してくれた。それが一番大きな理由かな、と思っている。なんとなく大きくなった会社なんだけど。
(・・・つづく)
●第15話は「手作りとは何か? 職人とは何か?」についておおくりします。

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