つけもの講習会を通じて地域社会や子どもたちと接し、食文化継承のために日々奔走する“つけもの先生”。彼の食に対する哲学もまた、じっくり漬け込まれた、奥深い味わいが特長です。
 私は、長く続けられることが大切だと思っている。しかし、それはなかなか難しいことだ。信念がないと、同じことは続けられない。それで、長く続けるために、私はチームワークを大切にしている。講習会をやるときも、30分ぐらい早く現場に着くようにして、先方の担当者と雑談をする。講習会の意義なんかも話したりする。何もかも自分でやろうとするのではなくて、周りを巻き込むことが重要だし、それが楽しい。
 私は「まちづくり」も好きで、いろいろな会合に参加している。お宝物産研究会をつくったのも、まちづくりの一環。仕事柄、「食」という切り口でいかに地域に貢献するかを考えている。売名行為が目的ならば、パーッとやればいいけれど、長く続けるためには地道にこつこつとやって仲間をつくっていくことが大事だ。何かにこだわりをもっている人たちと話をしていると、どんどん元気で前向きになれるものだ。
 そんなふうに、私の考え方というのは単純。長く続ける、三方良し、そして楽しく。
 私の父は、私が大学1年の時に亡くなったので、一緒に仕事をすることはできなかった。ところが、私は親父にそっくりなので、地元の人たちは私にも気安く声を掛けてくださる。これは、とてもありがたい。たいした経験がなくても、こういう商売を続けてこられたのは、親父の培ってきた人間関係に負うところが大きいと思っている。
 社名の「宏昌」というのは、よく人の名前と間違えられるけれど、実は「永遠」という意味の中国語だそうだ。非常に縁起のいい名前だと、親父を知っている中国人が教えてくれた。新たな知り合いをつくることももちろん大事だけど、ふるい人間関係を長く続けていけることは非常に嬉しい。そういう父から受け継いだ徳を大切にして、これからも商売をしていきたい。与えられた環境は120%使わなければいけないと思う。西尾に生まれたこと、西尾に会社があること、地元の人々、取引先、いろいろなところで出会った人たち、すべてご縁だ。それらを一つ一つ大切にしていきたい。そうしていると忙しいけれど、とても楽しい。
(おわり)
 

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